開店一ヶ月拓朗亭何想ふ
差し迫る雑用は山積し、今にも雪崩れ現象を引き起こしかねない。そんな予断を
許さぬ状況下ではあるにせよ、それらをほっぽり出してちょっと逃避行に出かける事にした。
向かう先は愚店の開業間近のドサクサに紛れて一足先に開店した「摂州三田之蕎麦処 権二朗」
主は小脇幸男と言う、元は豊中の火消し屋職人(消防士)。好きが講じて定年前に退職し、蕎麦の道へ入った。
「小さくても自分の思うままに出来る店を持ちたい…」
そんな夢が叶った希望の固まりの様な思いの篭った、こじんまりとした店である。
蕎麦は発展途上ではあるにせよ、将来がどう転ぶのか楽しみであり、特筆すべきは、小脇が創り出す蕎麦や一品を
盛る皿や器。立杭に近いからではなく店で使用するほとんどが主、小脇の手によるものである。
手が廻らぬ分や祝儀に陶芸仲間やその師匠からの頂き物もあるにせよ、一つひとつが温もりが在る器である。
この日、手や目にした器では愚僧は蕎麦猪口に想いを持って往かれてしまった。否、逝かれてしまった。
手にした瞬間ピタッと馴染み、吸い付くように片方の手の平に納まり、何の違和感も覚えさせない。
「このオッサン、こんな微妙で繊細なモン造れたんかいなぁ?」と思って繁々と眺めていると
陶号に「涼」と入っている。
「先生、それいいでしょう?彼女の作品ですわ」
とノタマウ。
そこにはチョイと美人系で切れの良い、店を手伝っているO女史の姿が在った。
以前、奈良だか何処だかで器も自ら手作りしています。とやっていた「そば屋」が在った。
一度伺ったのだが、片手では絶対持てない蕎麦猪口で「さぁどうぞ」と言われた。
「いきなり、ざる蕎麦を犬食いかいなぁ?これ蕎麦猪口と言うより、鉢やがなぁ」
等とは臆面にも出さず以来一度も行かない。
そんな野暮ったいモノとは話が違う。
誠に変な話で申し訳ないのだが、その「蕎麦猪口」に惚れ込んでしまった…。
O女史が如何なるお方かはまったく持って知らない。
「涼」と彫られた陶号が今の愚僧にはO女史を語る総てでありそれ以外には何もありはしない。
どこかに一筋の影があり、その影を静かに沈める大人の女の色っぽさがバカバカしいほどに滲み出ている。
それ故の作品なのか、女性特有の優しさから作り出されたモノなのかは定かではないにしろ、
その「蕎麦猪口」は愚僧を魅了した。
特に「蕎麦猪口」を集める趣味も、骨董品を愛でる趣味も無いが、こんな風に感じた事は今までに数多くの
蕎麦屋を訪れて来たにも拘らず一度たりとも無かった事である。
いつか一つわけてもらうにしても小脇の顔や蕎麦よりも、あの蕎麦猪口に逢う為に足を運んでしまいそうな
自分がここにいる。
えっ、「開店一ヶ月」はどうしたかって?
そう言えばそんなタイトルつけてましたよネェ。
まぁ、色々ありますが、反省しながら少しづつ進んでおりますので、と言う事でとりあえず拓朗亭は元気です。
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祝♪ブログ更新(笑)
あーありますねぇ〜何気ない器がシックリ手に馴染んで連れて帰りたくなっちゃうって(笑)
私は拓郎亭のひとり健気に働く石臼に惚れましたが。。。
んじゃ今度行ったらもしかして色っぽいお猪口があったりして!?
投稿者: ひろりん | 2006年04月08日 23:29
あぁ〜、健気に働いているのは、冷蔵庫に製氷機…石臼クンは深夜はお休みですが、こちらは昼夜関係なく働いてくれております…笑
こんばんは、ひろりんサマ。
いつも御声援有り難うございます。蕎麦猪口、手に入ったらまっ先にお知らせ致しますが、
相手もなかなか手強いですぞっ〜!!
でも手に持った時のしっくり感が忘れられない…うぅぅ、恋わずらいか?恋煩わしいか?それが問題ですなぁ。
投稿者: 大家です | 2006年04月09日 01:00
ついぞ先日、権二郎さんを訪ねました。旅誌の関係で。ほんと、権二朗さんの店は手を感じる店ですね。ごっつエロスともいえます。
投稿者: かれーまん | 2006年07月31日 17:29
お疲れ様でした。
本人先程迄店に来ておりました。かなり緊張してしまったようで、かれーまん氏のリードで無事終了出来たと喜んでおりました。
そうですね、店は本当に出来る所は自分(達)でやった。と言う感じでしょう。今はまだ「蕎麦」よりそれがオモシロイと、言うか目立ってしまう…
じかんがそれらを飲み込んだ時本当の「権二朗」の蕎麦が食べられる時では無いかと思っています。また、よろしくお願いします。
投稿者: 大家です | 2006年08月01日 01:31
一会庵の藤田さんと話してたんですが、開業して9年の間に、篠山市内だけでも9軒の蕎麦屋ができたとか。それまでは一会庵を入れてわずか2軒の町に。それはそうと今週、関西グルメ雑誌Aのミーティングがあります。「酒と肴」というキーワードで蕎麦屋を特集するとか。ほなもん、東京の真似はもう要らん!関西ならでは、その店独自の個性を拾い上げようやないか!と言ったらどこぞの酒類メーカーとの絡みがあるからあかん、と言い返されてしまいました。むかつくのでもう一回ブチまけてきます。(こうして僕はどんどんメジャー誌から切り捨てられていくのですネ・・・)
投稿者: かれーまん | 2006年08月08日 16:34