丹乃國蕎麦〜拓朗亭〜


■拓朗亭
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観音正寺の千眼千手観音さま

 先々週に痛めた腰が未だに悲鳴を上げている。2足歩行が人類に与えた永久の苦痛。
 年に2度程はどうしても「痛み止め」の世話にならざるを得ない時が在る。それにしても今回は復元にやたら時間がかかっているようだ。その痛みが走る中を事も在ろうに「西国三十三ヶ所」でも難所中の難所と言われた「観音正寺」に車を向けた。


 「駐車場から山道の階段を40分」はどう考えても苦難であり、下手をすれば脂汗で途中リタイアも想定しての話であった。ところが、道はナビが示す目的地の駐車場の先に「有料道路」が新設され、なんと歩いて10分程度のところまでそのまま登って行ける様に整備が進んでいたのである。
 しかもその先の参道はさほど高低差もなくゆるい上り坂であった。 参道を歩き始めるとすぐに小さなと言っても立像で6〜70センチほどは在ると思われるのだが、観音様がまつられてあった。この観音様が実に優しいお顔をされておられる。真の慈悲に満ちあふれ、吸い込まれそうな、でいて、それはまた実に艶っぽいのだ。しばし食い入るように見ていて、ふと思い出した。一昔前TVによく出ていて今は引退されてしまったが女優の「山口ミエ」にそっくりであることに気付いた。別嬪の観音は帰りにゆっくり拝見することにして本堂へと向かう。参道が車社会と参拝者の高齢化の為に新設され、それはそれで至極有り難いのだが、本来の山門は元の位置から動いてはいないのであるから「仁王さま」はその機能を果たしているのだろうかと要らぬ心配をしていたらとてつもなく立派な「仁王像」が睨みを効かせていた。
 特に向かって右のそれからは威圧感を覚える。おそらくは念の入り方が微妙に違うのであろう。二体の仁王によって邪気を払われ本堂へとと歩む。小さな東近江・蒲生の平野部を新幹線が猛スピードで駆け抜ける様は、まさに一匹の白い蛇のようであった。本堂に一歩足を踏み入れると静寂と稟とした空気が単に身体を包むのでは無く、五臓六腑に染み込んで来た。滅多にそんな事を言わないし、感じないのであろう妻でさえ「何だか落ち着く」と曰うのであるからその浄化力たるや、今までの札所とはケタが違うのであろう。ご本尊に向かえば瞬間的に宇宙空間を彷徨する魂を感じる。静寂だけが精神を支配したかのような無を感じる。長く居ると身体ごと持って行かれそうな錯覚に陥りそうである。ご本尊は平成に成ってからの火事で本堂ごと消失し、本来なら輸出禁止と成っている白檀をインド政府の計らいによって用い再建したもので、圧巻はご本尊、千眼千手観音に掛けられ一年間朝夕の読経によって努めあげられた数珠が一つづつストラップにされ売られている。これがなかなかのパワーを秘めていて観音様につつまれているように感じた。

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