丹乃國蕎麦〜拓朗亭〜


■拓朗亭
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槇尾山のやまのぼり

 もとをただせば、そう言うものか或いは近いかにせよ、一言で言ってしまえば「誰がこんなところに寺を建てたのか」と言う話で終わってしまうのだが、ここ大阪府和泉市に位置する槇尾山施福寺はそのガイドブックにも特筆されている通り33か所の中でも難所を極めたような山寺であった。


 ドン付きの手前の駐車場に車を停めて見ると地図ではもう少し上に在る「槇尾山観光センター」がパラダイス的な存在感を醸しだし、何処にでも在るそこでしか買えないものを陳列しているのが目に入った。
 強いて言う成らばお土産を買った人には杖を無料で貸し出しているらしく、借り手の無い杖がやたらと目立つところに置いてある。アプローチの道は細くともやはりバスツアーでやって来る参拝客は居るのだからそれはそれで重宝するのであろう。
「槇尾山観光センター」を過ぎると傾斜角30度は在ろうかと言う坂道が続く、目指す施福寺までは30分の登りなのだが、帰りの下り坂での膝に掛かる負担を思うと目の前の坂は慈悲の国への道とは到底考えられはしなかった。逆直滑降のような坂道の終わりに山門が見えた。仁王が邪気を払いその空気すら根底から帰依させているのだろう。とでも考えている方が「マイナス・イオン」云々よりは御利益があるような気がした。
 一段いちだんが成してきた業なのか、許されるはず無き罪の数なのかと己の体力の無さを転嫁させ最後の絶壁のような階段を登り切るとまさに極楽浄土であった。登り始めてちょうど30分、ぜぇぜぇと息を切らすほどではないが足下の悪い登り坂階段のあちこちに小さなお地蔵さんがまつられていたのは行き帰りの無事を祈ったものなのか定かではないにしろ、無事到着した瞬間的な感動と喜びは素直に受け止めていたかった。
 本堂に入ると涙が出そうなくらいに浄化された冷気が身を清める。
神社とは違う空気だ。丁寧に手を合わせ朱印を押して貰っていると一人の主婦がハンカチで顔を仰ぎながら入ってこられた。一人でのお参りは珍しいのでそれとなく目が合うと
「お父さん下でリタイヤしてますねん」
と仰る。
「あと少しのところでしょ」
と問うと
「そうなんよ」
と人なつっこい笑顔で返された。
「残念ですね、もう少しで浄土なんですがねぇ」
と言いながら閉まっているのは承知の上で茶店の方に歩いて行くと観音堂がまつってあり、覗いてみると33ヶ寺の観音様が総てそこにおられた。
有り難い事ではあるのだろうが、一堂に会されるとそれはそれで逆に見てはイケナイような気にさせられる。
 展望台からの眺めは山しか見えないのだが何か分からない感動を覚えた。養母はいったいいくつでここを登ったのであろう、同じ風景を見たのだろうか。
 帰路に着くと最初の階段(これから参る方には最後の階段)をおりた所に先程の主婦がご主人とおられた
「お連れになられたのですか?」
と問うと
「自力でここまで登って来た」
と言われたので
「あとひと踏ん張りでお寺ですよ」
と声を掛け下山した。

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みやまじやひばら
まつばらわけゆけば
まきのおでらに
こまぞいさめる
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
次へ三五粁

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