VOL.13たまには電車で・・・
所用で年末に京都市内に出掛けた。普段なら車で出掛けるのだが、年末と雪の影響もあって必要以上に道路があちこちで渋滞をきたしていた事も在り、久し振りにJRで行く事にした。
その帰り実に懐かしい顔に出逢った。
たまたま乗り合わせた電車の斜向いに可愛い女子高生が独り乗っておられた。どちらかと言うといわゆる、今風の女子高生ではなく清楚で控えめで利発そうな娘さんで一目で教養と常識を備えたお嬢さんに見受けられた。
最初はまったく解らなかったのだが、上唇と小鼻の間に小さなほくろが一つ在る。確かに何処かで見覚えのある顔なのだがどうしても想い出せない。と言ってジッート見ているわけにも行かず、果てさて確かに知っているお嬢さんなのだが誰であったかと思っていた矢先、ふと目が合った、その瞬間お互いに「あっ、」と小さく叫んでいた。
実に5年振りに見るその笑顔は紛れも無く「Tちゃん」であった。
その娘と出逢ったのはもう11年も前の話で、初代のデスクトップパソコンを置く台を店の前で慣れぬ手付きで造っていると、身体より大きなランドセルを背負ったカワイイ女の子が「おじちゃんは何を造ってるの?」と聞いて来た。今年小学校に入ったばっかりのちいさな女の子であった。
今なら、問題になるのかも知れないが、それから6年間その「Tちゃん」は拓朗亭でよく寄り道をして帰って行った。
蕎麦を打っているのが面白いのだろう、クルクルと目を廻しながら楽しそうに、今日、学校で在った事や、お母さん、そうそう、御両親はどこかの小学校の先生をされていたはずで、ある時Tちゃんが「お父さんの学校の二宮金次郎が夜中に歩き回るから、昨日、お父さんの車に押し込んで持って帰って来はったから、おじちゃん、夜中に誰か歩いてたらきっと二宮金次郎やからどうする?」と半分は解って半分は解らない事を言っていた事が在った。
それから、大きく成るにつれ彼女は益々可愛らしさを発揮し将来の夢は「保母さん」に成る事だと大きな瞳で語ってくれた。
最後に寄り道をしてくれたのは小学校の卒業式の帰り道。
御両親とTちゃんが揃って「おじちゃん、永い間ありがとう」と言ってくれたのを想い出す。
「そうか、Tちゃん、もう、卒業なんやなぁ、おっちゃんなんか寂しくなるなぁ」と言うと
「また、遊びに来てあげるから」と慰められたっけ・・・
彼女は「あっ、おじちゃん。拓朗亭のおじちゃんですよね!?」と懐かしいホントに懐かしい相変わらずクルクル瞳を廻しながら人懐っこい笑顔をみせてくれた。
「Tちゃんやなぁ、懐かしいなぁ。もう何年生になった?最後に見たンは小学校の卒業の時やから近くにいながら5年も会ってなかったんか!?大きく成って、綺麗になって、可愛く成って!!」あぁ、愚僧は何を言ってるんだろう?と思いながら彼女から発せられる言葉をひとつひとつ拾っていた。
何度でも書くし、何度でも言う。彼女は清楚で慎ましく、控えめで利発で綺麗で可愛い。
一番の成長期である5年間のブランクが無かった様によく喋ってくれた。内心は「おじんだぁ」と思っていたのかも知れない。だが、彼女はちゃんと自分の夢もまだ捨てずに持っているが、今御両親が薦める「薬剤師」への道も考えていると話してくれた。
相変わらず、なんでも話しをしてくれる。そう、その話し方も昔と少しも変らない・・・ちょっとだけゆっくり、ちゃんと自分の考えで言葉を選びながら話す彼女がそこにいたのだ。
たまには電車も悪く無いヤン・・・
塾があるからと亀岡駅で別れたが(どこかでお茶でも等とやらかせば逮捕されるかもしれんわなぁ)またきっと何時か会える日が来ると嬉しいのだが。
その時もTちゃんは「あっ、おじちゃん」って言ってくれるのかな?
2005.12.27
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