丹乃國蕎麦〜拓朗亭〜


■拓朗亭
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VOL.003〜年賀百景2004〜  謹賀新年

技術の進歩が乱筆家の愚僧にどれだけの恩恵を与えてくれているかは計り知れない物が在る。ようやく一般的な価格に落ち着きだした「ワープロ」を手にしたのは1985年の夏であった。
 メモリー機能すら取るに足らない様な機種ではあったがそれなりに活躍して現在のPCに至まで4台を使って来た。内容は御承知の通りIT産業の花形であるから「日進月歩」ならぬ『秒針時歩』と言ったところか。
 ほんの少しの間に出来なかった事がいとも簡単に出来る「ソフト」とそれらの複雑な指令を的確に処理する優秀なOSを搭載させたPCが家電店には処狭しと並べられている。
 その普及につれて年賀状も様変わりをして来たのは事実だろう。「ワープロ印字の年賀状には心がこもっていない」とか「温かみが感じられない」とかの批評は毎年在るかも知れないが考えてみれば『年賀状』そのものの歴史はそんなに古いわけでも無い。
 一般に普及したのが明治頃だろうからせいぜい120年ほどだろう。それを考慮すれば「年賀状」自体に『心』がこもっていない事になりかねない。「心を込めての御挨拶」なら直接赴き丁重に御挨拶を申し上げるのがスジと言うモノだ。と、すれば「手書き」だろうが「ワープロ」だろうがとやかく言う事もあるまい・・・日頃の音信不通や不義理が少しでも埋め合わせられればオンの字だ。3年に1枚ぐらいは宛名書きだけで裏は「真っ白」等と言う差出人すら記されていない、どう理解すれば良いのか判断出来ない物がやってくる。すわ「炙り出し」かと考えたりもするがこの年に成ってそんな酔狂な事もあるまいと捨ておく事に成る。

 さて、今年早々に頂いた年賀状に群馬在の蕎麦屋「せきざわ」さんからの物が在った。
 末文に〜「感動した」と言われる蕎麦が打ちたいな〜と書かれてあるのを拝読し少し恥ずかしく成った。と、言うのも「せきざわ」サンは愚僧がもっとも尊敬している蕎麦屋「会席蕎麦・草庵」(群馬県前橋)さんの一番弟子(か、どうかは定かではないが)で、何回か店にお邪魔をしているが何時も愚僧に何等かの感動を与え続けてくれている貴重な「蕎麦屋」であり、おそらくは日本ではここだけではないかと思うのだが使用するソバを自家栽培で完全自給しておられる何とも空恐ろしい店である。
 予約で「蕎麦会席」もこなしておられ昨年初夏にはお願いして賞味させて頂いた。師の「草庵」サン譲りの天麩羅『花衣』は何度頂いても誰をおつれしても素直な感動を覚えるし、実に美味しい。そんな「せきざわ」サンを持ってしても『「感動した」と言われる蕎麦が打ちたいな』と言われる。
 愚僧ごときが一丁前に「蕎麦屋でござい」等と喜ぶのはまだまだ早いのだと思い知らされた。と言うのが実感だ。
 正月早々から気合いを入れ直さないとイケナイ羽目になってしまった。『よ〜しっ!!』とは思うのだがそこはそれ「手抜き蕎麦」をモットーにする愚店にあっては「らしくない」ここはひとつその向こうを張って、「痛みに耐えてヨク頑張った」と言われる蕎麦を打てる様になろう・・・
 ちょっと古かったか・・・何処かの「玉子」程では無いにしろ・・・


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